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講座詳細

プロフェッショナルが語る、「食」の最前線でいま本当に求められていること

近年、「食」に対する世の中の視点が変化してきています。ただ食べるということを超え、社会に変革を起こすことも期待されるようになってきた「食」。これまでのレストランという枠組み、シェフや生産者の定義では収まりきらない新たなステージが急速に拡大する今、求められているのが「食」に対する知見と経験を持つ新たな「食」のプロデューサー、フードキュレーターです。「食」の現場に点在する様々な「知」を見つけ、つなぎあわせ、価値づけていく。
世界のトップシェフ達がいち早く実践するフードキュレーションとは何なのか。業界の最前線で活躍する4名が、フードキュレーターが創造する「食」の未来について語り合います。

#1 フードキュレーションとは何か(120分)

  • topic1フードキュレーションの定義【無料公開】
  • topic2メディアからの目線:今、食に起きていること
  • topic3ディスカッション:軸足は、どこに置く?
  • topic4フードキュレーション:シェフからの目線
  • topic5ディスカッション:多様性を広げること
  • topic6フードキュレーション:新しい農業のスタイル
  • topic7ディスカッション:生産現場とつなぐ存在は
  • topic8フードキュレーション:職業とする経緯と役割
  • topic9ディスカッション:DINING OUTにおけるフードキュレーション
  • topic10活躍するフードキュレーター:菊池博文さんの事例
  • topic11改めて、フードキュレーションとは
『Florilège』シェフ

川手 寛康氏

1978年東京生まれ。料理一族の家庭に育つ。高校卒業後、名立たる名店で修行を積み、2006 年に渡仏。モンペリエの「ジャルダン デ サンス」で修業。2007年帰国後、「カンテサンス」にてスーシェフとして活躍する。2009年に独立し、南青山にて「フロリレージュ」をオープン。「ASIA’S 50 BEST RESTAURANT 2020」で7位にランクイン。「ミシュランガイド東京2021年」で2つ星を獲得。2018年に台湾にレストラン「ロジー」をオープン、翌年「ミシュランガイド台北2019」で1つ星を獲得。2019年に「ハレクラニ沖縄」のレストラン「シルー」のコンサルを手掛ける。2020年にはミシュラン2つ星「傅」の長谷川在佑氏と共に串をテーマにした「デンクシフロリ」をオープンするなど、幅広く活動中。

『楽農研究所』代表取締役

菊地 義一氏

愛媛県喜多郡内子町出身の44歳。農業高校卒業後は静岡のみかん栽培の専門学校に進学。卒業後は地元のJAに就職し、9年間JAにて農業に関連するさまざまなことを学ぶ。その後、結婚を機に地元の作り酒屋に転職。モノ作りや販売について学ぶ。そして家業の果樹栽培、野菜栽培に取り組みながら、現在の株式会社楽農研究所を平成25年12月に設立現在に至る。
慣行栽培から現在は減農薬栽培など農薬や化学肥料を使わない農法の研究を重ね、地元でも若手リーダーとして活躍中。現在は生産のみならず販売・加工についても取組、直接消費者に販売するなど独自の取り組みと昨年から、レモンを中心とした産地化プロジェクトにも愛媛県内で実施、レモンのオーガニック産地づくりを目標に奮闘中

『料理通信』編集主幹

君島 佐和子氏

栃木県生まれ。早稲田大学第一文学部演劇専攻卒。株式会社パルコ、フリーライターを経て、1995年『料理王国』編集部へ。2002年より編集長を務める。2006年6月、国内外の食の最前線の情報を独自の視点で提示するフードマガジン『料理通信』を創刊。編集長を経て、2017年7月から編集主幹に。“食で未来をつくる・食の未来を考える”をテーマとする「The Cuisine Press」(Web料理通信)では、時代に消費されない本質的な「食の知」を目指して様々なコンテンツを届ける。辻静雄食文化賞専門技術者賞の選考委員。日経新聞の日曜朝刊「NIKKEI The STYLE/」に寄稿。デザイン専門誌『AXIS』、マガジンハウス『アンド プレミアム』でコラムを連載。著書に『外食2.0』(朝日出版社)。

『ONESTORY』フードキュレーター

宮内 隼人

1977年東京都生まれ。18歳から料理の道に入り「ラ・ビュット・ボワゼ」「ダズル」を経て2010年、大阪の三ツ星レストラン「HAJIME」に入る。5年半の経験を積み2013年に徳島県祖谷で開催されたプレミアムな野外レストラン「DINING OUT IYA」に参加。生鮮食材の物流に関する知識習得のため大阪の特殊青果卸「野木屋」を経て、2016年より現職。現在「DINNG OUT」では、開催地域の食材(生産者)の魅力を言語化し、トップシェフの思考、哲学に合わせて伝える翻訳者として活動。また、ラグジュアリーブランドとコラボレーションした食品開発、ブランディングまで「食」領域のプロデューサーとして活動の幅を広げている。

これからの「食」は何を目指すべきか
ウェルネスフードと医食同源から見る「食」の未来

“人”を“良く”すると書いて“食”。美味しさだけが求められる時代は終わり、美味しいことのその先まで、個人や社会の精神的な健康とのつながりが求められるようになってきています。一方で、手軽さやデータ偏重で「食事をとる」ことの大切さが見失われていることへの危機感も高まってきている現状。私たちは今、一体何を食べるべきなのか。美味しさと栄養が両立され精神的にも幸せな「食」とは。これからの「食」は何を目指していくべきなのか…。
「食」に携わるすべての人が向き合うべき根本テーマを、世界的に注目される「ウェルネスフード」、中国料理における「医食同源」という視点から掘り下げ、「食べる」ということの本質を問います。

#2 ウェルネスフード / 医⾷同源(96分)

  • topic1『ウェルネスフード』とは【無料公開】
  • topic2中国料理における「医食同源」の考え
  • topic3今、何を食べるべきか
  • topic4中国の漢方と『乾物』
  • topic5「健康な食」の提供とは
  • topic6料理とお茶のペアリング
  • topic7調味料の役割とは
  • topic8日本人の食生活と料理への姿勢
  • topic9ウェルネスフード:若い世代へのメッセージ
『茶禅華』シェフ

川田 智也氏

1982年栃木県生まれ。東京調理師専門学校卒。物心ついた頃から麻婆豆腐等の四川料理が好きで、幼稚園を卒園する頃には既に料理人になる夢を抱く。2000年~2010年「麻布長江」にて基礎となる技術を身につけ、2008年には副料理長を務める。その後日本食材を活かす技術を学ぶべく「日本料理龍吟」に入社し研鑚を積んだ後、2013年に台湾の「祥雲龍吟」の立ち上げに参加。副料理長に就任し2016年に帰国。中国料理の大胆さに日本料理の滋味や繊細さの表現が加わった独自の技術を習得する。2017年2月「茶禅華」オープン。わずか9カ月でミシュラン2つ星を獲得。さらに「ミシュランガイド東京2021」で3つ星を獲得。

ウェルネスフード推進協会理事・新渡戸文化短期大学 生活学科 客員教授

堀 知佐子

京都の調理師学校で教鞭をとった後、京料亭「菊乃井」の物販事業部の責任者となる。 2008年にアンチエイジングをコンセプトとしたレストラン「リール」を開業。「食べ物が身体を作る」をコンセプトにメニュー構成し、新しいレストランとして注目を集める。2010年株式会社「菊の井」常務就任。 2013年9月には調理指導師協会を発足し、管理栄養士や栄養士、医療従事者の調理技術向上を目的とした調理指導と栄養指導の資格を持つ専門職の育成を図る。 また、各地方自治体の農水産物商品開発アドバイスや生産加工に関わるサポート、「女性の健康を食から考える」をテーマとしての講演、レストランのメニュー開発や調理指導、各雑誌の健康をテーマとしたページに料理を提供するなど幅広く活動をしている。

その土地ならではの美味しさの秘密は“地質”に学ぶ。食と地質の深い関係

国土面積が地球上の1%にも満たないにもかかわらず、世界で一番火山が密集する火山大国であり地震大国でもある日本。地殻変動が生み出した世界的にも類稀なる地形を持つ日本列島に暮らす私たちは、食においてその恩恵を大いに享受しています。日本各地の美味しい食材一つ一つには、その美味しさの理由があります。土地の地形の意味を知ることが、土地の食材を理解し、その場所でしかなし得ない料理表現を引き出していく。その土地を表現する料理、その土地でしか味わうことのできない体験価値への期待と関心がますます高まってきている今、新時代のローカルガストロノミーには何が求められるのか。これからのローカルガストロノミーが目指していくべき未来について考えていきます。

#3 地質と食(97分)

  • topic1日本の地質 世界の地質【無料公開】
  • topic2日本とフランス「水」の違い
  • topic3富山の地質を紐解く
  • topic4この地で感じること 取り組むこと
  • topic5肉のダシを硬水が取りやすい訳
  • topic6利賀村は特異な地質?
  • topic7富山の海の幸:その秘密
  • topic8富山湾は「日本海の凝縮」
  • topic9日本列島の形成過程 その恩恵
  • topic10谷口シェフがこの地で描くもの
  • topic11「瑞々しいジビエ」の魅力
  • topic12終わりに:ローカルガストロノミーの可能性
『CUISINE RÉGIONALE L‘ÉVO』シェフ

谷口 英司氏

1976年大阪生まれ。料理人一家に育ち、幼い頃から料理人を目指す。高校卒業後に就職したホテルでフレンチと出会い、日本国内のさまざまなレストランで腕を磨く。多様な業態の店舗の開店立上げを多数手がけ、飲食業界の経験を積む。フランス東部ブルゴーニュの3つ星レストラン 「ベルナール・ロワゾー」での修行により、料理の感性と技術にさらに磨きをかけ、国際感覚を身につける。2010年富山へ移住。県内の有機農家との出会いから、富山の食材の豊かな可能性に気づき、富山の魅力を世界に発信すべく2014年に「Cuisine régionale L‘évo(レヴォ)」をオープン。「ミシュランガイド富山・石川(金沢)2016特別版」にて1つ星を獲得。さらなるローカルガストロノミーの進化を求め、富山県の山間部「利賀村」にレストランのほか宿泊棟やパン工房、菜園を設けるオーベルジュとして2020年12月に移転オープン。

神戸大学高等研究院海共生研究 アライアンス長・ 美食地質学研究者

巽 好幸氏

1954年大阪生まれ。京都大学総合人間学部教授、同大学院理学研究科教授、東京大学海洋研究所教授、海洋研究開発機構プログラムディレクター、神戸大学大学院理学研究科教授、神戸大学海洋底探査センターセンター長を経て現職。水惑星地球の進化や超巨大噴火のメカニズムを「マグマ学」の視点で考えている。日本地質学会賞、日本火山学会賞、米国地球物理学連合ボーエン賞、井植文化賞などを受賞。主な一般向け著書に、『地球の中心で何が起きているのか』『富士山大噴火と阿蘇山大爆発』(幻冬舎新書)、『地震と噴火は必ず起こる』(新潮選書)、『なぜ地球だけに陸と海があるのか』『和食はなぜ美味しい –日本列島の贈り物』(岩波書店)がある。

「美味しさ」の表現領域を広げる「香り」の科学

「香り」に食欲を刺激されたり、「香り」から料理の味を想像したり……。私たちが「食べる」ということにおいて、味や食感と同じくらいに重要なのが「香り」です。近年フォーカスされるフードペアリングにおいても「香り」は非常に重要な要素となっており、「美味しさ」と「香り」の関連性に関心が高まっています。「香り」に関する最新研究をもとに、美味しさにおける嗅覚の役割、「香り」を生かした料理表現についてなど、味覚と嗅覚の関係性に迫っていきます。
科学がもたらす「香り」のデータは、これからの「美味しさ」をどのようにアップデートしうるのか。実践を重ねる二人の登壇者による具体的な示唆に富んだ対談となりました。

#4 味覚と嗅覚(119分)

  • topic1嗅覚の役割、その重要性【無料公開】
  • topic2「おいしさ」の構成要素とは
  • topic3食の捉え方の変遷 食べることと脳の働き
  • topic4おいしさと脳内物質
  • topic5感覚を数量化する
  • topic6感覚の言語化と科学的検証
  • topic7香りを感じる経路
  • topic8フードペアリングと香りの関係性
  • topic9フードペアリングと日本料理
『木乃婦』三代目主人

髙橋 拓児氏

1968年12月16 日、京都生まれ。大学卒業後、東京の「吉兆」で5年間修業、故湯木貞一氏に直接に薫陶を受ける。その後、京都に戻り、料亭「木乃婦」の三代目を継ぐ。シニアソムリエや利き酒師の資格を取得し、ワインと和食とのコラボなど常に新しい調理法や素材に取り組んでいる。2015年3月に京都大学大学院農学研究科食品栄養科学の修士課程を修了。現在、龍谷大学大学院農学研究科博士後期課程に在籍。「日本食普及の親善大使」も務め、海外の多くの食イベントに招聘される。NHK「きょうの料理」講師。武庫川女子大学非常勤講師。ミシュラン1ツ星。京都府文化賞奨励賞、料理マスターズブロンズ賞を受賞。

立命館大学 食マネジメント学部 教授

國枝 里美氏

高砂香料工業株式会社総合研究所(現・研究開発本部) で研究業務に従事した後、現職。食品や飲料のフレーバーの官能評価と併せ、匂いが人の嗜好・感情・行動に与える作用について研究。匂いの感覚研究を通して、製品開発のための官能評価の設計、官能評価手法の開発、官能評価技術を応用した消費者調査や評価者の育成なども行う。日本味と匂学会、日本官能評価学会、においかおり環境学会等の学会に所属するほか、官能評価学会理事、オフフレーバー研究会幹事、においかおり環境学会誌編集委員を務める。